開示請求の費用はいくら必要?手続きの流れも解説 | U&T vessel 法律事務所

開示請求の費用はいくら必要?手続きの流れも解説

ネット上で誹謗中傷を受けた場合、「発信者情報開示請求」という手続きで発信者の個人情報を入手することができます。

発信者情報開示請求を行うことで、必要な個人情報が揃い、刑事告訴や賠償請求ができるようになります。

今回は、発信者情報開示請求にかかる裁判費用・弁護士費用の相場をご紹介いたします。

手続きの具体的な流れや期間、誹謗中傷の賠償請求で得られる慰謝料の相場もお伝えします。

 

 

「発信者情報開示請求」とは

 

発信者情報開示請求とは、ネット上で名誉毀損などの権利侵害を受けた際、発信者の特定を目的として行うものです。

自身の権利を侵害する内容が載せられたサイトにIPアドレス等の開示を請求し、そのIPアドレスから割り出したアクセスプロバイダにも開示請求を行うことで、利用者の個人情報が得られます。

発信者情報開示請求で得られる個人情報は、以下の7項目です。

・氏名又は名称

・住所

・電話番号

・電子メールアドレス

IPアドレス

・ポート番号

SIMカード識別番号

・不法な投稿や情報が発信された年月日及び時刻

ただし、全てのサイト・プロバイダが全項目の情報を保持しているとは限りません。発信者情報開示請求において開示を請求できるのは当該サイト・プロバイダが把握している情報だけです。

 

 

開示される条件

 

発信者情報開示請求をするためには、次の2つの条件を満たす必要があります。

・開示を受けるべき正当な理由がある

・権利侵害が明白である

一般の方で多いのは、悪口や事実無根の噂、個人情報などを書き込まれて、名誉毀損・侮辱・プライバシー侵害等の権利侵害により情報開示を行うケースです。

この場合、正当な理由とは「民事訴訟提起等のために発信者の個人情報が必要であること」等となります。

 

 

専門家に依頼するのが一般的

 

発信者情報開示請求は個人で行うことも不可能ではありません。

しかし、個人情報保護の観点から、サイトやプロバイダが個人からの任意の開示請求に応じることはほとんどありません。

実質的には、発信者情報開示請求は裁判手続きで行うものであり、この手続きは複雑かつ手間も多く、迅速性も求められるため、専門家である弁護士に依頼するのが一般的です。

 

 

開示請求手続きの流れ

 

それでは、具体的に発信者情報開示請求手続きの流れを解説していきます。

先にも触れましたが、開示請求はサイト管理者→アクセスプロバイダの2段階で行うのが一般的です。

 

 

サイト管理者にプロバイダ情報の開示請求

 

サイト管理者にプロバイダ情報の開示請求を行うには、「任意開示請求」と「仮処分命令申立」の2つの方法があります。

 

 

任意開示請求

 

任意開示請求とは、裁判手続きによらず、発信者情報の開示請求を行うことをいいます。

当事者(又はその代理人)同士(この場合は請求者とサイト管理者)が話し合い、合意によって問題解決を図る方法です。

裁判ではありませんが、交渉や手続きを弁護士に依頼することもできます。

しかし、この方法には強制力がなく、任意開示請求に応じて情報開示をするサイト管理者は多くありません。

この方法で情報開示が受けられなかった場合は、次に解説する「仮処分命令申立て」の手続きを行うことになります。

 

 

仮処分命令申立て

 

仮処分命令申立ては、裁判所を通して発信者情報の開示を求める方法です。

請求が認められれば、サイト管理者側にIPアドレスなどの情報を開示してもらうことができます。

例えば、東京地方裁判所における仮処分命令申立ての手続きでは、「債権者面接」と「双方審尋」の2つのステップがあります。

債権者面接で申立ての内容を確認した後、双方審尋で請求者・サイト管理者双方の主張を確認して、仮処分決定または和解によって仮処分命令申立が終了します。

 

 

プロバイダに契約者情報の開示請求

 

サイト管理者への情報開示請求で得られたIPアドレスを調べれば、発信者が契約している(していた)アクセスプロバイダがわかります。

アクセスプロバイダは契約者の名前や住所を把握していることが通常であるため、アクセスプロバイダに発信者情報開示請求を行うことで、権利侵害した相手を特定することが可能となります。

アクセスプロバイダに対しても、まず任意開示請求をすることもできますが、サイト管理者への請求と同様応じられる可能性は低いです。

強制力を持った情報開示請求をするためには、「発信者情報開示請求訴訟」を起こす必要があります。

発信者情報開示請求訴訟は、アクセスプロバイダの本店所在地を管轄する裁判所に申立てます。

この訴訟では、最初にご紹介した「開示される条件」2つを満たしていることを証明しなければなりません。

審理の結果、「開示される条件」2つを満たしていると認められれば、発信者情報を開示すべき旨の判決が下され、発信者の個人情報が入手できます。

参考:https://www.telesa.or.jp/ftp-content/consortium/provider/pdf/provider_hguideline_20180208.pdf

 

 

発信者情報開示請求にかかる費用と時間

 

発信者情報開示請求は、個人情報の開示を求めるという事案の性質上、簡単な手続きではありません。

ここでは、発信者情報開示請求にかかる費用と時間の目安を見ていきましょう。

 

 

発信者情報開示請求にかかる費用

 

発信者情報開示請求にかかる実費は、通常、10万円から30万円ほどです。

仮処分命令の場合、手数料の収入印紙・相手方への送達用の切手・命令発令のための担保金が必要です。

それぞれの費用目安は、以下のようになっています。

・収入印紙:2,000

・送達用の切手:概ね1000円前後(裁判所によって異なります)

・担保金:10万円から30万円程度(ケースごとに個別に決定されます)

ちなみに、この担保金は、裁判所から担保取消決定を得る、担保取戻しの許可を得るなどして返還を受けることができるのが通常です。

プロバイダに対する発信者情報開示請求訴訟は、通常訴訟となるので手数料は請求額により異なります。

発信者情報開示請求の場合、「請求額が確定できない」として160万円相当として計算されるので、手数料はプロバイダ1社につき13,000円です。

 

 

弁護士費用

 

先にもお伝えしましたが、発信者情報開示請求の手続きは弁護士に依頼するのが一般的です。

弁護士への報酬には「相談料」、「着手金」、「成功報酬」、「実費・日当」がありますが、その大部分を占めるのが「着手金」と「成功報酬」です。

依頼する手続きによって、弁護士費用の目安は以下のようになっています。

(成功報酬が発生しない場合、又は着手金と成功報酬を区別せずに「手数料」として設定される場合もあります。)

任意開示請求:着手金510万円程度、成功報酬1020万円程度

仮処分命令申立:着手金2040万円程度、成功報酬1020万円程度

発信者情報開示請求訴訟:着手金2030万円程度、成功報酬1020万円程度

 

 

半年~1年近くかかることも

 

開示請求の手続きには、全工程で半年~1年ほどかかることもあります。

サイト管理者に対する仮処分命令申立てにかかる期間は0.51.5ヶ月ほどが目安ですが、発信者情報開示請求訴訟は審理のための期日が複数回実施されることもあるため、その分期間を要します。

発信者情報の開示が認められるべきことが明らかな事案では、短期間で終わりますが、そうでない場合、審理のための期日が積み重なり長引くこともあるのです。

 

 

発信者情報開示請求でかかった費用は返ってくる?

 

ネット上で権利を侵害された上、投稿者特定にもお金や時間がかかるとなると、被害者側としてはなかなか納得いかないでしょう。

発信者情報開示請求を行うことで得られるリターンは、投稿者に対して損害賠償請求等の民事上の請求をできることや、刑事告訴をするなどして刑事上の責任追及をできることです。

発信者情報開示請求をして投稿者を特定した場合、どのような罪に対する刑事責任を追及することができ、どのくらいの金銭を請求できるかを見ていきましょう。

 

 

投稿者に対して刑事責任を追及できる罪

 

投稿者をどのような罪に問えるかは、受けた被害の種類によります。

発信者情報開示請求の原因となりがちなネット上の迷惑行為と、該当する主な犯罪は以下の通りです。

・いじめや嫌がらせ:名誉毀損、侮辱、ストーカー規制法違反

・悪評の流布:名誉毀損、侮辱、信用毀損、偽計業務妨害

SNSアカウントのなりすまし:名誉毀損、著作権法違反

・リベンジポルノ:リベンジポルノ防止法違反、猥褻物頒布等

 

 

慰謝料・賠償金の相場

 

発信者情報開示請求で投稿者を特定した後、当該投稿者に対して請求できる損害賠償の金額は、個々の事案によって異なります。損害賠償請求を民事訴訟で行う場合、投稿者が行った投稿の内容や数、投稿態様、実際に生じた被害等が考慮要素となります。過去の裁判例をみても、損害賠償金の金額を数万円のみ認めたもの、数十万円から100万円近く認めたもの、100万円を超える金額を認めたものと様々です。

また、民事訴訟ではなく、裁判所を通さずに投稿者と直接交渉する方法により示談(和解)する場合は、裁判所の認めであろう金額よりも高額の金額を請求できることもあります。

発信者情報開示請求などの手続きにかかった費用も、相手方に請求できる場合があります。

上記のとおり、投稿者に対して請求できる損害賠償金は、事案によって大きく異なり得るため、専門家である弁護士に相談してみることをおすすめいたします。

 

 

まとめ

 

開示請求はサイト管理者→プロバイダと2段階で行う必要があり、裁判手続きが必要となるケースがほとんどです。

審理のための期日が複数回実施されるため、期間は半年~1年近くかかることもあります。

裁判費用・弁護士費用もそれなりにかかりますが、勝訴できれば、投稿者に対し、損害賠償請求を行うことができます。

誹謗中傷などでお悩みの方は、一度弁護士に相談してみることをおすすめいたします。

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