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ホストラブへの誹謗中傷にはどう対応する?
投稿削除&犯人特定方法を解説

約200万人のユーザーが利用するホストラブ(通称ホスラブ)は、サイトの性質上、誹謗中傷被害が起こりがちです。

今回は、ホストラブで誹謗中傷を受けた場合、どのように対応すれば良いかを解説いたします。
サイト上のフォームからの削除依頼方法や、削除依頼が承認されなかった場合の対応方法について掲載しています。
誹謗中傷の犯人を特定・責任追及したい場合の手続き方法についてもご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

ホストラブ(ホスラブ)とは?

ホストラブ(ホスラブ)は、ホストクラブを中心とした夜のお店の情報を扱うWeb掲示板です。
地域別に10の掲示板に分かれていて、全体のユーザー数は月間約200万人と言われています。

具体的な店名・人名を冠したスレッドも多いため、個人情報や、個人を特定できる誹謗中傷が書き込まれやすいことが特徴です。

ホストラブで削除してもらえる投稿とは?

ホストラブで運営者に削除してもらえる投稿は、ホストラブの利用規約に違反している書き込みやスレッドです。
具体的には、以下のような投稿が利用規約で禁じられています。

1.著作権などの第三者の知的財産権を侵害し、または侵害を助長する行為
2.虚偽または故意に誤解を与える発言
3.民族的・人種的差別につながる発言、倫理的観点から問題のある発言
4.特定の政党もしくは政治団体のための活動、宗教活動または専ら営利を目的とした発言、その他勧誘、宣伝、広告を目的とした行為
5.ホストラブまたはホストラブに接続しているサーバーもしくはネットワークを妨害したり、混乱させたりする行為
6.ホストラブの目的及び開設されたテーマとは無関係な発言
7.ホストラブが禁止を明示した発言または削除した発言と同一または類似する内容の発言
8.ホストラブの運営を妨害する行為または当該行為を誘引・助長させる行為
9.第三者のホストラブ利用を妨害する行為
10.第三者の個人情報を無断で収集、開示する行為
11.第三者に対する誹謗中傷または名誉き損、もしくは他者に対して不利益または不快感を与えるおそれのある発言
12.自分以外の人物を名乗ったり、代表権や代理権がないにもかかわらず文化団体などの組織を名乗る発言、または他の人物や組織と提携、協力関係にあると偽ったりする発言
13.公序良俗に反する行為
14.その他ホストラブが不適切と判断した全ての行為

出典:https://news.hostlove.com/delete/index.cgi?a=kanto&file=agree

ホストラブの書き込みに多い違反投稿は、誹謗中傷やプライバシー侵害など。
これらは規約違反である以上に犯罪行為なので、削除依頼によって削除することができますし、場合によっては告訴や損害賠償請求も可能です。

ホストラブへの投稿を削除依頼する方法

ホストラブの投稿削除依頼は、掲示板ごとの「削除依頼フォーム(https://news.hostlove.com/delete/form.cgi?a=kanto)」から行います。
※上記リンクは関東版のものです。地域ごとにURLが違うため注意してください。

削除依頼フォームの利用方法

ホストラブの削除依頼フォームには、以下の内容を記入します。

・スレッド番号:各スレッドを指すURLの14桁の数字
・レス番号:半角数字で入力。複数の場合は半角カンマで区切る
・削除理由:各レスに対して、ガイドラインから抜き出して表記
・名前
・メールアドレス

この内容を送信し、削除が認められれば、96時間以内を目処に投稿が削除されます。
レス単位ではなくスレッド全体の削除を依頼したい場合も手順は同じです。

削除人が削除作業をスムーズに行うために、レス番号を一つ以上指定した上で「削除理由」の項目にスレッド全体の削除を求める旨を記載しましょう。

自分で依頼する場合の注意点

ホストラブの削除依頼は、名前とメールアドレス以外の項目が「削除依頼履歴」で全て公開されます。
削除理由には個人情報など、公開されて困る内容は記載してはなりません。

また、ホストラブで削除を請け負う削除人は、ボランティアの方で構成されています。
暴言や、第三者にわかりにくい説明などは避け、なぜ投稿の削除を求めるのかが明確に伝わる文章を送信しましょう。

ホストラブへの投稿削除を「仮処分」で求める方法

削除依頼フォームからの依頼では投稿を削除してもらえなかった場合、裁判所を通じて「仮処分」を行うことで投稿を削除できる可能性があります。

仮処分手続きとは、裁判所から相手方に削除命令を発してもらうことで、より強制力の高い削除依頼の手続きです。
削除請求の仮処分を行う流れは、以下の通りです。

1.申し立て:裁判所に「サイト運営に対して、投稿削除の仮処分命令を求める」という申し立てを行う
2.審尋:双方の言い分や証拠を検討し、削除命令が妥当かどうか審査する
3.立担保:申し立てが認められた場合、裁判所が指定した担保金を法務局に供託する
4.仮処分命令:裁判所がサイト運営に、投稿を削除するよう命令を出す
5.執行:サイト運営が投稿を削除する。削除に応じない場合、裁判所が指定した金額を相手方に払わせることができる

仮処分の手続きを行うと、2週間〜3ヶ月程度で投稿の削除が可能です。
この手続きには法的な知識が必要となるので、サイト上のフォームからの依頼で削除できなかった場合には、弁護士への相談がおすすめです。

ホストラブ誹謗中傷犯人の特定方法

ホストラブで誹謗中傷を受け、相手の責任を追求したい場合、犯人を特定して訴訟を起こしたり、損害賠償請求を行うことが可能です。
ここからは、その手続き方法について解説していきます。

誹謗中傷犯人の法的責任とは

ホストラブなどの掲示板で誹謗中傷をした人には、書き込みの内容によって「刑事責任」あるいは「民事責任」を問うことができます。

刑事責任

刑事責任とは、犯罪を犯した人が「懲役」「禁固」「罰金」といった刑罰を受けることです。
刑法で刑罰が定められている、名誉毀損や侮辱、業務妨害、脅迫といった被害を受けた場合、警察に犯人を捕まえてもらい、刑事責任を果たさせることができます。
なお、侮辱罪については、現行法の法定刑(1日以上30日未満の期間、刑事施設に拘束される、又は、千円以上1万円以下の強制徴収)が比較的小さいことを受け、刑をより重くする議論が始まっています。

民事責任

民事責任とは、刑罰ではなく被害者への金銭の支払い(損害賠償)などで償うことです。
ネット上の書き込みで請求できる損害賠償額は、規模にもよりますが以下のような金額が目安となっています。

・名誉毀損罪:20~100万円
・侮辱罪:1〜20万円
・信用毀損罪:5〜50万円
・プライバシー侵害:10万~50万円
・著作権侵害:10〜100万円
・肖像権侵害:10〜400万円

誹謗中傷犯人特定までの流れ

それでは、ホスラブで誹謗中傷された場合、犯人を特定するまでの流れを見ていきましょう。

①ホスラブに開示請求

開示請求は、まずは権利侵害をする書き込みがあったサイト管理者に行います。
ホスラブは運営会社を公開していないため、「WHOIS」などのツールを使って運営会社を調べるところから始まります。

運営会社が判明したら、サイトが保存している投稿者の「IPアドレス」の開示請求を行います。
情報開示をするかどうかは任意なので、開示してもらえなかった場合には次の項目の「仮処分」の手続きが必要です。

②発信者情報開示の仮処分

IPアドレスは利用者の個人情報なので、任意開示の請求では情報を開示しないサイト管理者が多いです。
任意開示では発信者情報の開示を受けられなかった場合、裁判所を通じた仮処分命令で開示を求めます。

手順は削除命令の場合と同じで、裁判所に申し立てを行い、審尋を行って認められれば、投稿者が書き込みを行った際のIPアドレスを入手できます。

③プロバイダに情報開示請求

IPアドレスは、直接的に投稿者の名前や住所に繋がる情報ではありません。
投稿者を特定するためには、IPアドレスから割り出したプロバイダに情報開示請求を行う必要があります。
サイト運営に開示請求をした場合と同じく、任意開示→仮処分、それでも開示されなかった場合は発信者情報開示請求訴訟を行って、情報の開示を求めます。

プロバイダからの情報開示を受け、投稿者の名前や住所が明らかになると、告訴や損害賠償請求などができるようになります。

弁護士に依頼する際の注意点

誹謗中傷の犯人を追求する手続きには、高度な法的知識が必要なため個人で行うのは難しいです。
弁護士への依頼が最もスムーズですが、弁護士に情報開示手続きを依頼するには費用がかかります。

弁護士への報酬には、相談料・着手金・成功報酬・実費・日当などがありますが、そのうち着手金と成功報酬が大部分を占めています。
手続き別の費用の目安は、以下の通りです。

・任意開示請求:着手金10万円~、成功報酬10〜20万円
・仮処分命令申立:着手金20〜40万円、成功報酬10〜20万円
・発信者情報開示請求訴訟:着手金20〜30万円、成功報酬10〜20万円

また、開示請求の手続きには、全工程で半年〜1年ほどかかることがあります。
サイト管理者に対する仮処分命令は1〜1.5ヶ月ほどですが、発信者情報開示請求訴訟の審理が2〜3回あるため時間がかかるのです。
ネットの誹謗中傷の犯人は、すぐに逮捕したり、賠償金を請求できるものではないことを知っておきましょう。

まとめ

ホスラブに誹謗中傷が書き込まれた場合は、専用のフォームから削除依頼をすることができます。
依頼自体は簡単ですが、削除理由が明確に伝わるよう、利用規約などをよく読んで内容を作成しましょう。

フォームからの依頼では削除できなかった場合や、犯人の法的責任を追求したい場合には、法律の専門家である弁護士への相談がおすすめです。

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