Column

逆リベンジポルノとは?
適用される罪と予防法

リベンジポルノとは、交際中に撮影した性的な写真などを、別れた後に公開したり、それを元にゆすり・脅しを行ったりすることです。
本来、このリベンジポルノという言葉に男女を区別する意味合いはありませんが、女性が被害に遭う割合が多いため、男性が被害に遭った場合は「逆リベンジポルノ」と呼んだりもします。

今回は、逆リベンジポルノの実態や、被害に遭ってしまった場合の対策、被害に遭わないための予防策について解説していきます。

逆リベンジポルノの被害の実態

令和3年の警視庁による調査では、リベンジポルノの被害者は90.9%が女性。
男性の被害(逆リベンジポルノ)の割合は、9.0%となっています。

しかし、これは警察に届け出られた件数の比率なので、実際にもっと被害は起こっているものの、表面化しにくいとも考えられます。
逆リベンジポルノが表に出にくい理由や、よくある逆リベンジポルノのケースについて見ていきましょう。

参照元:https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/stalker/R2_STDVkouhousiryou.pdf

よくあるケース

逆リベンジポルノの被害でよくあるケースは、以下の2パターンです。

・SNSやネット掲示板などに性的な画像・動画等を公開する
・性的な画像・動画等をネタにして、恐喝を行う

プライベート画像自体を公開するというよりは、関係を持ったことの証拠として画像を利用し、「要求に従わなければ家族や会社にバラす」という形での恐喝が多いです。

また、逆リベンジポルノの被害に遭いやすいのは、自分の立場を不利にできない人という共通点があります。
例えば、企業の重役・役職者などの社会的な評価が仕事の評価に直結する男性、家族や婚約者などバレれば家庭環境に影響の出やすい男性、パパ活や援助交際などを行っている男性などが挙げられます。
その女性との関わりを人に知られると、自身の信用が失墜してしまうという恐れから要求に応じてしまうのです。

加害者の目的

逆リベンジポルノを行う加害者の目的は、大きく分けて以下の4つです。

・別れた相手への嫌がらせ
・復縁
・金銭
・その他、仕事の獲得・昇進など

1つ目、2つ目の目的は元交際相手、3つ目、4つ目の目的はパパ活・援助交際・不倫といった関係の人物からの被害が多いです。
逆リベンジポルノは痴情のもつれと見られることが多いですが、最初から恐喝を目的として男性に近づくケースもあります。

ちなみに、加害者は関係を持った女性個人ではなく、その女性の周囲の人や反社会的組織が後ろ盾になっている場合もあります。

逆リベンジポルノはどんな罪になる?

逆リベンジポルノは、様々な犯罪に該当します。
どんな行為がどんな罪にあたるのか、具体例を見ていきましょう。

リベンジポルノ防止法

リベンジポルノ防止法は、平成26年に交付された新しい法律です。
正式名称は「私事性的画像の提供等による被害の防止に関する法律」と言います。

リベンジポルノ防止法では、以下に定める「私事性的画像」の公表・提供を禁じています。

「私事性的画像」とは:
・性行為の記録
・性交類似行為(手淫・口淫)の記録
・他人が性器等(性器、肛門又は乳首)に触れる記録
・衣服の全部、または一部を着けておらず性的な部位が強調されている記録

リベンジポルノ防止法に違反すると、以下の罰則が課されます。
・公表:3年以下の懲役または50万円以下の罰金
・提供:1年以下の懲役または30万円以下の罰金

ストーカー規制法違反

逆リベンジポルノ被害者が拒否しているのに、加害者が連絡を取ったり面会を強制したりした場合、ストーカー規制法違反に問える可能性があります。

ストーカー規制法で規制されているのは、以下のような行為です。

・つきまとい・待ち伏せ・押し掛け・うろつき等
・監視していると告げる行為
・面会や交際の要求
・乱暴な言動
・無言電話、拒否後の連続した電話・ファクシミリ・電子メール・SNS等
・汚物等の送付
・名誉を傷つける
・性的しゅう恥心の侵害

これらの被害を受けている場合、警察から加害者に警告してもらったり、刑事告発(逮捕)したりすることができます。

脅迫罪・恐喝罪・強要罪

逆リベンジポルノで金銭やその他の要求に従うよう恐喝されている場合、脅迫罪・恐喝罪・強要罪に問うことができます。
この3つはイメージが似ていて区別がつきにくいですが、以下のような違いがあります。

脅迫罪=生命、身体、自由、名誉または財産に対し、害を加える旨を告知する
恐喝罪=暴行や脅迫を用いて、人に財産を交付させる
強要罪=暴行や脅迫を用いて、人に義務のないことを行わせたり、権利の行使を妨害したりする

つまり、「脅迫する」こと自体が脅迫罪、「脅迫して金銭を取る」が恐喝罪、「脅迫して何かをやらせる」が強要罪ということです。
また、脅迫に伴って暴力を振るわれた場合は、暴行罪にも該当します。

これらの犯罪は非常に悪質ですので、被害に遭ったら速やかに警察や弁護士に相談しましょう。

わいせつ頒布等罪

わいせつ頒布等罪は、インターネット上での公開を含め、性的な画像を広く頒布したり、公然と陳列したりすることを言います。
逆リベンジポルノの画像を公開した場合、このわいせつ頒布等罪に当たります。

わいせつ頒布等罪の罰則は、2年以下の懲役または250万円以下の罰金です。

被害者・加害者が未成年の場合は?

被害者が未成年(18才未満)の場合、上記の罪状に加え、児童買春・児童ポルノ禁止法(正式名称は「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」)が禁じている「児童ポルノ公然陳列罪」「児童ポルノの所持・製造」に該当する可能性があります。

加害者の女性が未成年である場合、逆リベンジポルノの被害者であるとともに、「淫行・児童買春」等の加害者となる可能性もあります。
真摯な交際でなかった場合や金銭の授受があった場合には、相手が18才未満だと罪に問われることがあります。

また、もし仮に13才以下の児童と性的行為をした場合、同意があったかどうかや性別は関係なく、成人側が加害者になります。

逆リベンジポルノの対処法

それでは、実際に逆リベンジポルノの被害にあった場合、どのような対処をするべきなのか解説していきます。

削除依頼する

ネット上に、自分の性的な写真や動画が公開されてしまった場合、すぐに削除依頼を行いましょう。
その写真がアップされたサイトやサービスの管理者に連絡を撮り、自分のプライバシー権や肖像権が侵害されていることを伝えます。

削除依頼が反映されない場合、情報開示請求等が必要になる場合もあるので、速やかに警察や弁護士に相談しましょう。

証拠を保存しておく

逆リベンジポルノの被害を受けた証拠が残らないと、警察や弁護士への相談や訴訟の際に不利になります。
スクリーンショットや、サイトを現状のまま保存しておく「魚拓サービス」を使い、証拠を保存しておきましょう。

自分で仕返しは逆効果

逆リベンジポルノをやめてもらおうと、自分で交渉したり仕返ししたりするのはおすすめできません。
性的な画像を所持している相手を刺激すると、エスカレートして被害が拡大する恐れがあります。
また、強姦罪などをでっち上げられて、逆に訴えを起こされるリスクもあります。

逆リベンジポルノの被害にあったら自分で対処しようとせず、速やかに専門家に相談しましょう。

逆リベンジポルノ被害は専門家に相談を

それでは、5chに削除依頼する時に気をつけたい3つのポイントをご紹介します。

「削除ガイドライン」を確認する

逆リベンジポルノの被害を受けたら、専門家に相談するのがおすすめです。
逆リベンジポルノの被害について相談できる窓口は、「警察」「弁護士・法テラス」「セーファーインターネット協会」の3つの選択肢があります。

警察

繰り返し恐喝を受けている、放っておくと身の危険があるといった場合は、警察に相談しましょう。
警察は犯人を逮捕することができるので、自分や家族の身辺から犯人を引き離して安全を確保することができます。

また、すでにネット上に画像が公開されている場合には、直接交番や近くの警察署に行くのではなく、都道府県の「サイバー犯罪相談窓口」に相談するのがおすすめです。

弁護士・法テラス

逆リベンジポルノの犯人を罰したい、慰謝料や賠償金を請求したいという場合は、弁護士や法テラスに相談しましょう。
恐喝や名誉毀損など、リベンジポルノ案件に力を入れ、ノウハウを蓄えている弁護士も多いです。

そもそも罪に問えるかどうかや、どんな弁護士に相談すればいいかわからないという場合は、法テラスの無料相談を利用するのがおすすめです。

セーファーインターネット協会

公開されたプライベート画像を、一刻も早く確実に削除したいという場合は、セーファーインターネット協会に相談します。

国内外のサーバーに関わらず、秘密厳守で削除をしてくれますので、サイト管理者に連絡が取れない場合や削除依頼が反映されない場合におすすめです。

逆リベンジポルノを予防するために

最後に、逆リベンジポルノを予防するためには、どんな対策が有効なのかをご紹介していきます。

性的写真・動画を撮らない・撮らせない

そもそも、性的な写真や動画が存在しなければ、逆リベンジポルノに発展する危険もありません。
信頼している交際相手であっても、性的な写真や動画は撮らない・撮らせないのが一番です。

また、画像ではなく性的なメッセージなどが晒される可能性もあるため、節度を持ってやり取りするようにしましょう。

相手の恨みをかわない

逆リベンジポルノは、捨てられた腹いせや復縁が目的というケースも多いです。
交際相手とは円満に別れることを心掛けていれば、逆リベンジポルノを防ぐこともできます。

SNSなどでの出会いに注意

SNSでの出会いは、相手の素性がわかりにくく、教えられた名前や年齢は嘘だという場合もあります。
そういった相手から逆リベンジポルノの被害を受けた場合、犯人の特定に手間がかかるので賠償請求などがしにくいです。

また、相手が未成年だった場合、先にお伝えしたように淫行や児童買春の加害者になってしまうリスクもあります。
元から逆リベンジポルノ目的で登録しているユーザーがいないとも限らないので、特にSNSでの出会いには注意しましょう。

まとめ

逆リベンジポルノは、信用の失墜を恐れる気持ちから被害が表面化しにくいです。
しかし、男女問わずリベンジポルノは犯罪です。
放置したり要求に応じたりすると、エスカレートする可能性もあります。逆リベンジポルノの被害を受けたら、速やかに弁護士や警察などの専門家に相談しましょう。

関連記事一覧