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風評被害はなぜ起こる?
実例や対応方法まとめ

マスコミの偏向報道や、ネット上の無責任な書き込みによって広まってしまう”風評被害”。
噂が広まってしまうと完全に取り消すのは難しく、場合によっては数十年も影響が続くこともあります。

今回は、風評被害が発生するメカニズムや、実際に起こった事例について解説いたします。
万が一風評被害を受けてしまった場合や、誤った情報を拡散してしまった場合の対処方法もお伝えします。

風評被害とは

風評被害とは、根拠のない噂のために受ける被害のことです。
特に、事故や事件が発生した時に、不適切な報道がなされたことによって無関係の人や団体まで被害にあってしまうことを言います。

例えば、ある会社の商品で食中毒が発生した際、その食品自体が危険かのような印象で報道されたことで、他社の売れ行きにまで影響を及ぼすことなどが風評被害といえます。

風評被害はなぜ起こる?

風評被害は、以下のように発生すると言われています。

1.不確かな情報が拡散する
2.その情報に、消費者が不安を感じる
3.買い控え、株価の下落、さらなる噂の拡散などが起こる

不確かな情報の大元は、取材不足の報道、偏向報道、誤解を招く統計データ、ネット上の無根拠な書き込みなど様々。
特に、多くの人に直接影響を与える「環境」「安全」に関する事柄で、風評被害が起こりやすくなっています。
「自分に悪いことが降りかかるのではないか」という不安から感情的になり、不確かな情報の拡散に加担してしまうのです。

また、近年は誰もがSNSを利用する社会になっていることもあり、事件と無関係の人を犯人だと勘違いして晒し上げるなど、個人の風評被害も増えています。

風評被害の例と影響

それでは、実際にあった風評被害の事例と、その影響についてお伝えします。

ネットによるネガティブ情報

平成26年、ある会社に恨みを持つ元従業員が、インターネット上にネガティブな情報を書き込んだことで風評被害に繋がった事件がありました。
書き込みの内容は、「会社が退職勧奨に従わない従業員に対し、見せしめのための人事異動を行った」というもの。

これにより、会社は業績悪化や社会的評価の低下といった被害を受け、判決では原告に33万円の損害賠償の支払いとネット上の記事の削除が命じられました。

マスコミによる偏った報道

これまでになく大きな風評被害を生んだのが、2011年の東日本大震災で起こった原発事故です。
被災地である福島県の、土地・人・農作物などが放射線で汚染されているという風評が日本中に広まり、福島県産の食品などの買い控えが起こりました。

福島県や農家は放射線量の検査を行い、基準値内の商品しか出荷していませんが、新聞・ニュースなどでは消費者の不安を煽るような偏向報道が加熱。
地震から10年が経った現在も、福島県産の農産物についての風評被害は完全にはなくなっていません。

地域・社会での噂

1999年、JCO東海事業所の核燃料加工施設内で事故が起こり、667名の被曝者を出しました。
この事故の後、周辺地域でJCO東海事業所がある東海村や周辺の住民が、「他の地域で嫌がられる」という噂が流れました。
噂の内容は、「東海村の出身者が事故を理由にして婚約破棄された」「旅行先で宿泊を断られた」など。

これらの噂が事実であったかどうかは定かではありませんが、噂が原因で東海村や周辺地域の農業・漁業・観光産業・食品加工業者などは現在も苦境を強いられています。

風評被害に対して損害賠償請求できる?

風評被害を受けた場合、被害者は損害賠償請求をすることができます。
噂や偏向報道がなければ得られるはずだった売上や、休業による損害、精神的苦痛などに対して請求が可能です。

損害賠償請求の方法

損害賠償請求を行う手順は、以下の通りです。

1.加害者(請求先)の特定
2.損害賠償額の算定
3.示談交渉
4.(示談交渉で解決しなかった場合)調停
5.(調停で解決しなかった場合)裁判

損害賠償請求を行うには、まず請求相手を特定する必要があります。
マスコミなどの報道であれば相手は明らかですが、ネット上の書き込みなどの場合は、開示請求を行って投稿者の名前や住所の特定から始めます。

また、請求する損害賠償額は、実際に受けた被害額や精神的苦痛の度合い、過失割合などから総合して算定します。
これらの材料が揃ったら、「示談(任意での支払い)→調停(話し合い)→裁判」という形で損害賠償請求を進めていきます。

これらは個人で行うことも不可能ではありませんが、法律の専門知識が必要ですし、書類作成などの事務手続きも煩雑です。
また、ネットでの発信者特定には情報の保存期限というタイムリミットがあるため、スピーディーな対応が肝心となります。

そのため、損害賠償請求を行う場合には、なるべく早めに風評被害への対応に強い弁護士に相談するのがおすすめです。

刑事告訴はできる?

風評被害を与える行為は、刑事告訴できる罪名でいうと「名誉毀損」「業務妨害」「信用毀損」などに該当する可能性が高いです。
刑事告訴をする場合、相談先は警察ですが、警察は身の危険が迫っているなどの緊急事態ではない限りなかなか動いてくれません。

刑事告訴をするにも証拠集めなどの準備が必要なので、風評被害を受けた場合にはまず弁護士に相談するのがおすすめです。

風評被害への正しい対策とは

最後に、風評被害を受けた場合、または風評被害を発信してしまった場合の対策方法をお伝えします。

専門家・公的機関に相談する

風評被害を受けた場合、まずはこの先の対応を考えるために専門家や公的機関に相談しましょう。
知識がないのにむやみに動いても、さらに風評被害を拡大させてしまいかねません。

法律の専門家である弁護士や、公的機関が相談窓口を設けている場合にはそこに相談しましょう。

正確な情報・見解を公開する

風評被害の原因は、先にもお伝えしましたが「不確かな情報」です。
それを是正するために、根拠のあるデータなど正確な情報を発信して噂が広まるのを食い止めます。

また、噂の一部が事実である場合には、それを認めることも重要です。
それを踏まえて、今後どのように対応していくのかという見解も、同時に明らかにしましょう。

正しい情報を把握する

風評被害を発生させないためには、世間の人々の意識も重要です。
無責任な情報発信があったとしても、誰もそれを信じなければ風評被害は発生しません。
ニュース記事を読んで不安を感じたら、関連する公的機関のデータを参照するなど、個々に「ファクトチェック」を行うようにしましょう。

謝罪はすべき?そのタイミングは?

風評被害を発信してしまった側は、正確な情報が確認でき次第、早急に謝罪や訂正を行います。
謝罪をせず、不確かな情報を押し流すようにポジティブな情報を発信するメディアもありますが、これはあまり効果が見込めませんし、なにより不誠実です。

ただし、正確な情報がないまま無闇に謝罪しても、また新たに誤った情報を拡散することになりかねません。
風評被害の謝罪は、内容が二転三転することがないよう、正しい情報と共に行いましょう。

まとめ

風評被害は無責任な情報の拡散によって発生し、場合によっては何十年もその影響が続きます。
広まってしまった噂を消すことは難しいので、誰もが誤った情報を広めないよう、ファクトチェックの意識を持つことが重要です。

もし風評被害を受けた場合には、知識がないまま動こうとせず、まずは弁護士などの専門家に相談して対応を考えていくのがおすすめです。

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